01 3月 長引く音楽不況の真の原因は、目新しさに欠ける音楽ばかりが出回っているせいではないだろうか。
前回の記事で、芸術には新鮮な驚きがあった方がいいということを書きました。 と同時に、最近の音楽には目新しいものがなかなか見当たらないということも書きました。
つまり、真の才能を持った人がなかなか現れていないということになると思います。そのため、既にあったような楽曲をなんとか新しいものであるかのように宣伝し、自分たちのタレント生命を延命させようともがいているようにも見えます。
言うまでもなく、本当に新しいものと、古いものを単に新しく見せかけるのとでは根本的に大きな違いがあります。古いものを新しく見せかけるだけでは、いずれ誰からもその才能の欠如を見透かされて、やがては飽きられてしまうに違いないからです。しかし、残念なことに、最近はそのようなアーティストを非常に多く見かけます。
つい最近、ゴーストライターを使って楽曲を作らせているアーティストがいるのだと世に広く知れ渡るような事件がありました。言うまでもなく、そんな商習慣が続けている間は、何か目新しい音楽がこの世に登場するはずもありません。
確かにビジネスの世界では、新たな見せ方、新たなアプローチの仕方をすることによって、今まで売れなかったものを売る、ということも必要な場合があるでしょう。音楽の世界もまたビジネスであることには変わりがないので、そのような方法をとることも時には必要なのかも知れません。
しかし、音楽というものはビジネスである以前に芸術でもあるのです。そんな商習慣をいつまでも続けていたら、いずれ多くの客から飽きられ、吐き捨てられてしまうのが落ちです。そうなったら、また新しい客を取り込めばいいと考える人もいるかも知れませんが、所詮、捻出できる広告費には限界があるわけですし、そもそも日本のマーケットにも限界があります。
そんな状況が長きに渡って放置されつづけてきたがために、昨今のような音楽不況がずっと長く続いているのではないかと私は考えます。現在の音楽不況を、違法ダウンロードのせいだとかyoutubeなどの動画サイトのせいだとか、長引く不景気のせいだとか言って、外部に要因を求めようとする人が多くいますが、本当のところは音楽そのものに誰もが飽き飽きしてきているというのが一番の原因ではないでしょうか。
過去に売れた楽曲に似た楽曲を出してヒットを飛ばす、という方法論もそろそろ限界に来ていると思います。その方法で一時的にヒットを飛ばしたとしても、長い目で見れば、いずれ客から飽きられ、見放されてしまうのが落ちでしょう。
そんなわけで、私自身も常に今までになかったような新しい音楽を発見しようと努めています。その努力が本当に実を結ぶかどうかはまだまだ未知数ですが、その努力だけは怠らないつもりです。この記事を読んでくださっているアーティストの方達にも、ぜひともそのような努力を続けてほしいものだと強く願います。
掲載した作品は、Yulia Brodskaya氏によるぺーバーアートです。色のついた紙を切り貼りして作成しているようです。
まるでコンピューターで描いたようなリアルさ緻密さに目を奪われてしまいます。
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